俳句の試み
 
   

黒羽町:芭蕉の里にて(栃木県)






この古い禅寺で水琴窟をみつけた。
竹筒に耳を近づけるとしずくが反響している。
その妙なる音色に魅せられた。

滴りや水琴窟の小宇宙
 
 
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第四十一回出羽三山俳句投句箱
平成13年6月上旬締切り
選者 羽黒吟社 高城 金男主宰

特選
    随神門杉の木立に百千鳥
大類 匡光

 
 
みちのくひとり旅  
     
   
     
   
  今年の4月下旬にわかに出羽三山に行きたくなり、ふら〜っとみちのくひとり旅(羽黒神社前で車中泊)翌早朝残雪の石段二千段を踏みしめ奥社までお詣り、投句もさせていただきましたが、まさかのまさか・・・!入選の知らせが来るとは・・・!
これもひとえに皆々様のご指導ご鞭撻の賜物、芭蕉翁のお導きか、出羽三山神社ご霊験あらたかなりと感謝御礼 合掌
 
     
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春月誌2002/1月号第130号に掲載分より
春月集(東人選)

作務衣での犬の散歩やそぞろ寒

お供への月見団子や雲過ぎる

ロンドンに作品渡り秋深し(EWACC展)

雨によし晴れてなほよし山もみぢ

散りぎはのもみぢもっとも赤きかな

睦月集(一月の課題句 蓬莱、女正月)

三方の蓬莱飾りに合掌す

女将には縁遠きかな女正月

前掛けをはづす暇なき女正月
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春月誌2001/12月号第129号に掲載分より

春月集(東人選)

白樺の肌の白さよ草紅葉

岳樺にからむ炎の蔦紅葉

秋分の山裾日の出をろがみぬ

群雀落穂拾ひを専らに

直送の酢橘の香り阿波遥か

極月集(十二月の課題句 咳、ラグビー)東人選

楽章の合間をねらひ咳満ちぬ

咳の子の胸にメンタムそつと塗り

ラガー等に水を与へて大薬罐

ラグビー場逆転トライに総立ちぬ
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春月誌2001/11月号第128号に掲載分より

春月集(東人選) 

幾星霜過ぎて足尾の青嶺かな

蕗採りや親父の束に及ばざる

忽ちに嶺より高く雲の峯

雷鳴を吠え返したり座敷犬

群れとんぼ露天の湯面たたきけり

霜月集(十一月の課題句 一葉忌、山茶花)東人選

一葉忌、山茶花投句できず
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春月誌2001/10月号第127号に掲載分より

春月集(東人選) 

句碑ありて口ずさみつつ登山口

駒鳥の遠くに鳴きて雨上がり

登山道難所の前のゆる下り

森林浴ニンフに見らる気配して

みどり児に貰ふ笑ひや梅雨明ける

神無月集(十月の課題句 夜寒、鮭)東人選

露天湯に鼻唄まじる夜寒かな

姫鱒の身を赤くして遡上せり
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春月誌2001/9月号第126号に掲載分より

春月集(東人選) 

老鶯の谺のごとく鳴けるかな

浴衣着る金魚にも似て少女らは

滴りや水琴窟の小宇宙

綿菅の鹿の子斑の湿地かな

駒鳥の囀り遠く小雨やむ

長月集(九月の課題句 野分、秋灯)東人選

海の子のカヌーに興じ野分晴

秋灯「あきともし」秋燈「しゅうとう」投句できず
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春月誌2001/8月号第125号に掲載分より

星辰集(東人推薦)

日光はやうやく余花のいろは坂

春月集(東人選 

日光はやうやく余花のいろは坂

大瑠璃の声滝の音に吸はれけり

サンダルをつっかけ夕焼け撮りにけり

百千鳥日矢千筋の羽黒山

月山は空狭くして雪の壁

葉月集(八月の課題句 端居、河童忌)東人選

海抜千五百メートルの夕端居

しもつけの奥日光に端居せり

光りおり餓鬼忌に偲ぶ蜘蛛の糸

河童忌や課題の図書は龍之介
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春月誌2001/7月号第124号に掲載分より

春月集(東人選

さざなみや碁石の如く浮寝鳥

四月馬鹿恋の噂の人気教師

墨色に音を押し込め五月闇

食害の森に果てるや孕み鹿

どよめきのあとの沈黙ご来光

文月集(七月の課題句 七月、髪洗ふ)東人選

七月や白装束の登拝祭 
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春月誌2001/6月号第123号に掲載分より

春月集(東人選)

初市や問ふたび違ひだるまの値

打ち寄する形に湖畔の凍りたり

三椏の花そこここに慈眼堂

啓蟄の畑に目ざとき群れ鴉

人気なき国庁跡に百千鳥

水無月集(六月の課題句 紅花、五月闇)東人選

紅の花露干ぬまでに摘みとられ

漆黒の闇にあらずや五月闇

夏の闇時々光る夜空かな
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春月誌2001/5月号第122号に掲載分より

星辰集(東人推薦)

雪晴れや蒼き剣の大華厳

天眠管蠡行脚D(春月2月号鑑賞)”取り合わせとコガネ”より

夕暮れて風が運びし鹿の声

聞くところによるとこの人は写真家だそうな。俳句は初心だというが、住んでいるところは野生の鹿が居るところらしいから、ナマの鹿の声を知っている。古来「鹿の声」はさんざ和歌に詠まれてきたが、僕らはそれを聞けない。テクニックは後回しにして、どうぞ真実を奥の山からぼくらに伝えてほしい。この句はとてもいい。(渋谷天眠同人)

春月集(東人選)

雪五尺樺の梢の青き空

風騒ぐ五尺の雪の白き闇

次々にメールの届く吹雪の夜

雪晴れや蒼き剣の大華厳

皐月集(五月の課題句 茅花流し、麦苅)東人選

渡良瀬や茅花流しの幾重にも(秀逸)

さっぱりと床屋帰りの麦苅田
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春月誌2001/4月号第121号に掲載分より

春月集 (東人選)

受験子の口重かりし機上かな

朝日射す原爆ドーム仔猫かな

あれが吾子背中で決める新入生

桜東風沖に動かぬフェリーかな

卯月集(4月の課題句 日永、若草) 東人選

牛の尾の蝿を叩ける日永かな

若草を踏まないやうに土手を行く
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春月誌2001/3月号第120号に掲載分より

星辰集(東人推薦)

羊水のごとき露天湯冬の月

春月集 (東人選)

水鳥のいや数を増す湖畔かな

羊水のごとき露天湯冬の月

雪しまき頬までつかり露天風呂

試験了へ並ぶ笑顔に空っ風

風追ひつ追はれつ枯葉走りさる

弥生集(3月の課題句 残雪、紫雲英れんげまたはげんげ)

東人選

残雪やホルスタインの乳垂れて

紫雲英野の波を寄せては返す風

紫雲英田のまざまざとあり夢のうち
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春月誌2001/2月号第119号に掲載分より

(11月号より投句開始)

師系有馬朗人、戸恒東人(はるひと)主宰

春月集 (東人選)

夕暮れて風が運びし鹿の声

たんぽぽの絮(わたげ)に遊びし幼き日

寒雀眼で追うてゐる露天風呂

落ち葉焚く光あやなす杉並木

秋夕日鉛の雲をつらぬけり

如月集 (2月の課題句 冬の蝶 寒晴れ)東人選

日溜りに標本もどきの冬の蝶

展(ひろ)げたる翅いたいたし冬の蝶

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  写真が取り持つご縁で栃木昭雄さんとの出会いがあり、三澤郁子さんを、さらに三澤さんから森利孟さんをご紹介戴く。春月俳句会を知り、手ほどきやご指導を受けながら投稿開始。標高千五百bの奥日光に居住、季節のずれと句会や吟行に参加できないのが悩みの種であるが多くの出会いに感謝。
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  僕の句が最初に活字になったのは(財)日本観光旅館連盟の会報誌で俳句を募集しており、撰者は「草林」の雨宮抱星主宰でした。

土にいて儚き蝉の声しきり

そのうちこの募集企画も終了となり、句作から遠ざかっていました。再びそのきっかけと手ほどきをいただいたのが「桑海」同人で前橋市在住の鈴木実さんでした。

湯元まで来た甲斐ありし余花のあり(みのる)

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